相続
2026-09-30
相続の流れと期限|はじめての方のための全体ガイド
親が亡くなったあと、悲しむ間もなくやってくるのが相続の手続きです。
相続には「3か月」「10か月」など、期限が決まっている手続きがいくつもあります。知らないうちに期限が過ぎてしまうと、損をしたり、選べる方法が減ったりすることもあります。
この記事は、相続についていちばん最初に読んでほしい入門ガイドです。まずは全体の流れと期限をつかみましょう。
相続の流れと期限
亡くなってから相続が終わるまで
7日以内
死亡届の提出
あわせて火葬許可をもらいます。葬儀社が手伝ってくれることが多いです。
早めに
遺言書の確認・相続人と財産の調査
遺言書があるか、誰が相続人か(戸籍で確認)、どんな財産や借金があるかを調べます。
3か月以内
相続放棄・限定承認
借金のほうが多い場合などは、家庭裁判所で手続きをします(くわしくは相続放棄の記事)。何もしなければ、すべてを相続(単純承認)したことになります。
4か月以内
準確定申告
亡くなった方に一定の所得があった場合、その年の所得税の申告をします。
10か月以内
遺産分割協議・相続税の申告と納付
誰が何を受け取るかを話し合って決めます。相続税がかかる場合は、この期限までに申告・納付します。
3年以内
相続登記(不動産の名義変更)
2024年4月から義務になりました。それより前に相続した不動産は2027年3月31日までが期限です。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になることがあります。
※ 遺産分割協議そのものに期限はありませんが、相続税の申告がある場合は10か月以内にまとめておくのが一般的です。
誰が相続人になる?
法律で決められた相続人(法定相続人)には、順番があります。
相続人になる人と順番
配偶者(夫・妻)
いつでも相続人になります。
第1順位:子ども
子どもが先に亡くなっている場合は、孫が代わりに相続します。
第2順位:親
子どもがいない場合に相続人になります。
第3順位:兄弟姉妹
子どもも親もいない場合に相続人になります。
※ 上の順位の人がいると、下の順位の人は相続人になりません。
法律で決められた取り分(法定相続分)
| 相続人の組み合わせ | 配偶者 | ほかの相続人 |
|---|---|---|
| 配偶者と子ども | 2分の1 | 子ども全員で2分の1 |
| 配偶者と親 | 3分の2 | 親全員で3分の1 |
| 配偶者と兄弟姉妹 | 4分の3 | 兄弟姉妹全員で4分の1 |
※ 遺言書がある場合や、相続人全員の話し合いで合意した場合は、この割合と異なる分け方もできます。
相続税はかかる?
相続税は、遺産の合計が「基礎控除」をこえる場合にかかります(出典:国税庁「No.4152 相続税の計算」令和8年4月1日現在法令等)。
基礎控除 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
| 法定相続人の数 | 基礎控除の額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
※ 法定相続人の数は、相続放棄をした人がいても、放棄がなかったものとして数えます。養子がいる場合は数え方に決まりがあります。
遺産の評価には特例などもあり、計算はとても複雑です。国税庁の「相続税の申告要否判定コーナー」でおおよその確認ができますが、申告が必要かもしれないと思ったら、早めに税理士や税務署に相談しましょう。申告と納付の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
困ったときの相談先
| 相談したいこと | 相談先 |
|---|---|
| 不動産の名義変更(相続登記) | 司法書士 |
| 相続税の計算・申告 | 税理士 |
| 相続人どうしでもめている | 弁護士 |
| 相続の書類づくり(遺産分割協議書など) | 行政書士・司法書士 |
| どこに相談すればいいか分からない | 市区町村の無料相談、法テラス |
生前にできる準備
相続の手続きは、生前の準備で大きく変わります。
- 財産の一覧をつくっておく
- 遺言書を書いておく(公正証書遺言なら、検認の手続きがいらない)
- 親が認知症になる前に、家族信託などで財産の管理を決めておく
くわしくは、家族信託とは?、資産凍結についての記事をご覧ください。実家を売る予定がある方は、相続登記についての記事もあわせてどうぞ。
まとめ
- 相続は「3か月(相続放棄)」「10か月(相続税)」「3年(相続登記)」の期限が大切
- 相続人は、配偶者と、子ども→親→兄弟姉妹の順番で決まる
- 相続税は、遺産が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」をこえる場合にかかる(くわしくは税理士・税務署へ)
- 分からないことは、内容に合った専門家へ早めに相談を
※ この記事は2026年9月時点の情報をもとにしています。制度は法改正で変わることがあります。実際の手続きは、専門家にご確認ください。
この記事の出典
- 法務省「死亡届」
- 裁判所「相続の放棄の申述」
- 国税庁 タックスアンサー「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」
- 国税庁 タックスアンサー「No.4205 相続税の申告と納税」
- 国税庁 タックスアンサー「No.4152 相続税の計算」(令和8年4月1日現在法令等)
- 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」(令和7年3月27日現在)
(いずれも2026年9月に内容を確認しています)