相続

2026-09-30

成年後見の申立ての流れと費用|必要な書類を裁判所の情報で解説

親が認知症などで判断能力を失うと、預金の引き出しや実家の売却などを、本人も家族もできなくなることがあります(くわしくは資産凍結についての記事)。

そのときに必要になるのが、家庭裁判所に後見人を選んでもらう「成年後見」です。この記事では、判断能力が欠けているのが通常の状態の方を対象にした「後見開始の審判」の申立てについて、裁判所の公式ページをもとに整理しました(出典は記事の最後に載せています)。

成年後見とは

家庭裁判所が、本人のために「成年後見人」を選びます。成年後見人は、本人の財産に関するすべての法律行為を、本人に代わって行うことができます。また、本人がした法律行為(日常生活に関するものを除く)を取り消すことができます。

判断能力の程度に応じて、「後見」「保佐」「補助」の3つの種類があります。この記事では、いちばん重い「後見」について解説します。

申立てができる人・申立て先

項目 内容
申立てができる人 本人、配偶者、四親等内の親族(子ども・孫・兄弟姉妹・おい・めいなど)、検察官など
申立て先 本人の住所地を管轄する家庭裁判所

申立てにかかる費用

費用 金額
申立手数料 収入印紙 800円
登記手数料 収入印紙 2,600円
連絡用の郵便切手 裁判所ごとに異なる
鑑定費用 必要な場合のみ。本人の判断能力について鑑定をすることがあり、その費用を申立人が負担することがある

※ 医師の診断書の作成費用、戸籍謄本などの書類をそろえる費用も別にかかります。弁護士や司法書士に申立てを依頼する場合は、その報酬もかかります。

必要な書類

主な申立て書類
申立書
裁判所のページに書式と記載例があります。
本人と候補者の書類
本人の戸籍謄本・住民票、後見人候補者の住民票(いずれも発行から3か月以内)。
本人の診断書・本人情報シート
医師の診断書(3か月以内)と、ケアマネジャーなどが作る「本人情報シート」の写し。介護保険の認定書などの写しも。
登記されていないことの証明書
本人が成年後見制度を使っていないことを示す証明書。法務局で取得します。
財産の資料
通帳の写し、残高証明書、不動産の登記事項証明書、ローンの契約書など。
収支の資料
年金額の通知書、施設の利用料や入院費の領収書、税金・保険料の通知書など。
※ マイナンバーが書かれた書類は提出しないように注意しましょう。裁判所から追加の書類を求められることもあります。

申立てから後見開始までの流れ

後見開始までの流れ
1
書類をそろえて家庭裁判所に申立て
本人の住所地の家庭裁判所に提出します。大阪・京都・神戸などの家庭裁判所には、独自の手続案内があります。
2
事情の聞き取り
家庭裁判所の職員が、申立人・本人・後見人候補者から、事情や本人の意見を聞くことがあります(ウェブ会議も可能)。
3
必要に応じて鑑定
本人の判断能力について、医師による鑑定が行われることがあります。
4
審判・後見人の選任
家庭裁判所が、本人の財産や必要な支援に応じて、ふさわしい人を後見人に選びます。

知っておきたい注意点

  • 後見人に家族が選ばれるとは限りません。申立書に候補者を書くことはできますが、家庭裁判所が本人にとってふさわしい人を選びます。弁護士や司法書士などの専門職が選ばれることもあります
  • 専門職が後見人になると、報酬がかかります。報酬は家庭裁判所が決め、本人の財産から支払われます
  • 原則として、途中でやめることはできません。本人の判断能力が回復しない限り続きます
  • 本人の財産は、本人のためにしか使えません

元気なうちの備えも

成年後見は、判断能力が失われた「あと」の制度です。親の判断能力があるうちなら、任意後見や家族信託で、財産を管理する人をあらかじめ決めておくこともできます。

まとめ

  • 成年後見は、判断能力を失った本人の財産を、家庭裁判所が選んだ後見人が管理する制度
  • 申立ては、四親等内の親族などが、本人の住所地の家庭裁判所に行う
  • 費用は、収入印紙800円+2,600円+郵便切手。鑑定費用がかかることも
  • 後見人に家族が選ばれるとは限らず、原則として途中でやめられない

この記事の出典

※ 手続きや費用は、家庭裁判所によって異なる場合があります。実際の申立ては、本人の住所地の家庭裁判所にご確認ください。

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