相続

2026-10-27

任意後見制度とは?|元気なうちに後見人を選んで公正証書で契約、費用は1契約1万3,000円から。始まるのは任意後見監督人が選ばれてから(公証人連合会・裁判所の情報で解説)

「親が認知症になったら、預金や実家の管理はどうなるの?」という不安への備えのひとつが任意後見制度です。この記事は、日本公証人連合会と裁判所の公式ページをもとに書いています(出典は記事の最後に載せています)。

※ 費用や必要書類は、契約の内容や公証役場・家庭裁判所によって変わることがあります。実際に使うときは、公証役場や家庭裁判所に確認してください。

任意後見と法定後見の違い

成年後見制度には、2つの種類があります。

成年後見制度の2つの種類
任意後見
本人に判断能力があるうちに、将来後見人になってくれる人と自分で契約しておく
法定後見
判断能力が衰えたあとに、家庭裁判所の手続きで後見人などが選ばれる

日本公証人連合会は、法定後見では裁判所が後見人などを選ぶため、当事者が希望する人が選ばれるとは限らないと説明しています。任意後見なら、本人が元気なうちに「この人に任せたい」と自分で決めておけます。

法定後見の申立ての流れは、成年後見の申立ての流れと費用で説明しています。

任意後見の流れ

任意後見が始まるまで
1
任せる人(任意後見受任者)を決める
子どもなどの家族のほか、専門職や法人に頼むこともできる
2
公証役場で任意後見契約の公正証書をつくる
契約は公正証書でしなければならない。契約の内容は登記される
3
本人の判断能力が衰える
契約しただけでは、まだ任意後見は始まらない
4
家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てる
監督人が選ばれたときから、契約の効力が生じる

ポイントは、契約しただけでは始まらないことです。本人の判断能力が衰えて、家庭裁判所が任意後見監督人を選んだときに、はじめて任意後見人として動けるようになります。

なぜ公正証書なの?

日本公証人連合会によると、任意後見契約は公証人がつくる公正証書でしなければならないと決められています。本人の意思と判断能力をしっかり確かめ、契約の内容が法律に沿ったものになるようにするためです。

「移行型」という使い方

判断能力が衰える前から、通帳の管理などを手伝ってほしいこともあります。その場合は、ふつうの委任契約(財産管理などの契約)と任意後見契約を同時に結んでおき、判断能力が衰えたら任意後見に切り替える方法があります。これは「移行型」と呼ばれています。

公正証書をつくる費用

日本公証人連合会のQ&Aによると、費用は次のとおりです。

項目 金額
公正証書の作成手数料 1契約につき1万3,000円(3枚を超えると1枚ごとに300円を加算)
公証人が病院などに出向く場合 病床執務加算6,500円(合計1契約1万9,500円)
登記嘱託手数料 1,600円
法務局に納める収入印紙代 2,600円
正本・謄本など 電磁的記録なら1通2,500円、書面なら枚数×300円
書留郵便料 実費

任意後見と一緒にふつうの委任契約も結ぶ場合は、その分の手数料が別にかかります。任せる人が複数いると、原則として人数分の契約になり、費用も増えます。

必要な書類

人 書類
本人 印鑑登録証明書と実印(または顔写真付きの公的な身分証明書と認印・実印)、戸籍謄本または抄本、住民票
任せる人(受任者) 印鑑登録証明書と実印(または顔写真付きの公的な身分証明書と認印・実印)、住民票

印鑑証明書は、発行から3か月以内のものに限られます。

任意後見人・監督人の報酬

  • 任意後見人の報酬:あり・なしや金額は、本人と任せる人の話し合いで決める。家族が後見人になる場合は、無報酬にすることも多い
  • 任意後見監督人の報酬:家庭裁判所が事案ごとに決め、本人の財産から支払われる

任意後見監督人の選任の申立て

項目 内容
申し立てできる人 本人、配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者
申立先 本人の住所地の家庭裁判所
費用 申立手数料 収入印紙800円分、登記手数料 収入印紙1,400円分、連絡用の郵便切手
主な書類 申立書、本人の戸籍謄本、任意後見契約公正証書の写し、登記事項証明書、診断書(家庭裁判所が定める様式)、本人の財産に関する資料など

本人の精神の状況について鑑定が必要な場合は、申立人が鑑定費用を負担することがあります。また、本人以外の人が申し立てるときは、本人の同意が必要です(本人が意思を表せないときは不要)。

家族信託とどう違う?

親の財産の管理に備える方法には、家族信託もあります。任意後見は、契約で決めた範囲で、後見人が本人に代わって財産の管理や契約などをする仕組みです。家族信託は、信託した財産の管理・処分を家族に任せる仕組みです。どちらが合うかは家族の状況で変わるので、司法書士や弁護士などの専門家に相談して決めましょう。

親が認知症になって口座が使えなくなったときのことは、親の認知症で資産が凍結されたらにまとめています。

まとめ

  • 任意後見は、本人が元気なうちに、将来の後見人を自分で選んで契約しておく制度
  • 契約は公正証書でする。作成手数料は1契約1万3,000円から
  • 契約しただけでは始まらず、家庭裁判所が任意後見監督人を選んだときから効力が生じる
  • 監督人選任の申立ては、本人・配偶者・四親等内の親族・任意後見受任者ができる(収入印紙800円+登記手数料1,400円など)
  • 監督人の報酬は家庭裁判所が決め、本人の財産から支払われる

出典

(2026年10月27日に確認)

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