2026-10-18
免許を返納した親の移動手段|大阪市・神戸市の敬老パス、福祉有償運送、介護保険の通院介助

親が運転をやめたあと、いちばん困るのが「通院や買い物にどうやって行くか」です。返納を話し合う前に、親の住んでいる地域で使える移動手段を調べておくと、本人も家族も安心して決められます。
ここでは、関西の大きな市の敬老パスと、体が不自由な人のための移動サービスを整理します。
移動手段の全体像
| 手段 | 向いている人 | 費用のめやす |
|---|---|---|
| 敬老パス(市の制度) | 自分で電車やバスに乗れる人 | 1回50円・小児料金など(市によって違う) |
| 運転経歴証明書の特典 | 返納して証明書を受け取った65歳以上の人 | 協力企業のタクシー・バスの割引など |
| 福祉有償運送 | 一人で公共交通機関を使うのが難しい人 | タクシー運賃の2分の1がめやす |
| 介護保険の通院等乗降介助 | 要介護1以上の人 | 介護保険の自己負担分+運賃 |
大阪市の「敬老優待乗車証」
大阪市に住んでいる70歳以上の人は、「敬老優待乗車証」を使って、Osaka Metro(地下鉄・ニュートラム)と大阪シティバス(いまざとライナーを含む)に1回50円で乗れます。
- 申請は、お住まいの区の区役所(保健福祉センター)で行います
- 問い合わせ先は、大阪市 福祉局高齢福祉課(06-6208-8054)です
JRや私鉄、Osaka Metro以外のバスは対象外です。親の通院先や買い物先まで、地下鉄・シティバスで行けるかを確かめておきましょう。
神戸市の「敬老パス」
神戸市に住んでいる満70歳以上の人は、「敬老優待乗車証(敬老パス)」を使って、市バス・地下鉄などに小児料金で乗れます。
| 区分 | 使える交通機関 |
|---|---|
| バス | 神戸市バス、神姫バス(シティーループを除く)、神姫ゾーンバス、山陽バス、神鉄バス、阪神バス、阪急バス、地域コミュニティ交通 |
| 鉄道 | 神戸市営地下鉄、ポートライナー、六甲ライナー |
申請書は、満70歳になる前に市から郵送されます。記入してポストに入れるか、神戸市の電子申請「e-KOBE」で申請すると、誕生日の前の月の下旬に敬老パスが簡易書留で届きます。使うときは、駅などで1,000円単位(上限20,000円)で入金(チャージ)しておきます。
なお、福祉乗車証やタクシー利用券などを受けている人は対象外です。
大阪市・神戸市以外の市町にも、高齢者向けのバスの割引やタクシー券などの制度があることがあります。親が住んでいる市町の高齢福祉の窓口で確認してください。
運転経歴証明書の特典も使う
免許を返納して「運転経歴証明書」を受け取った65歳以上の人は、大阪府・兵庫県の返納サポート制度で、協力している企業のタクシーやバスの割引などを受けられます。敬老パスと組み合わせて使えるかも確かめておきましょう。
→ 親の運転免許の自主返納|運転経歴証明書と大阪府・兵庫県の返納特典
一人で電車やバスに乗るのが難しいなら「福祉有償運送」
足が弱くなった、車いすを使っているなどで、一人では公共交通機関を使うのが難しい人のために、NPO法人などが自家用車で家から目的地まで送り迎えする「福祉有償運送」という仕組みがあります。道路運送法にもとづく制度で、国土交通省(運輸局)への登録を受けた団体が行います。
国土交通省 近畿運輸局の資料では、次のように整理されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 利用できる人 | 他人の介助なしで移動するのが難しく、一人で公共交通機関を使うのが難しい人と、その付添人。要介護者、要支援者、基本チェックリスト該当者、身体障害者などが対象 |
| 車 | 定員11人未満の車(車いす車、回転シート車、セダンなど) |
| 料金のめやす | タクシー運賃の2分の1がめやす(地域の協議で決まった額になることもある) |
利用するには、運送をしている団体にあらかじめ会員登録するのが一般的です。どの団体が親の地域で運送しているかは、市町村の福祉の窓口や地域包括支援センターで聞くことができます。
要介護1以上なら介護保険の「通院等乗降介助」
親が要介護1以上の認定を受けている場合は、介護保険の訪問介護の一つとして「通院等のための乗車又は降車の介助(通院等乗降介助)」を使えることがあります。ヘルパーの資格を持つ運転手が、車への乗り降りや、病院の受付までの移動を手伝ってくれるもので、いわゆる「介護タクシー」の仕組みです。
使えるかどうかや、どの事業者に頼むかは、担当のケアマネジャーに相談します。介護保険の自己負担分のほかに、運賃が別にかかります。
→ 親の通院の付き添いができないときは? → ケアマネジャーの選び方
返納の前に、家族で確かめておきたいこと
- 親がよく行く場所(病院・スーパー・銀行など)と、そこまでの電車・バスの経路
- 住んでいる市町の敬老パスやタクシー券の有無
- 体が不自由になったときに使える、福祉有償運送の団体や介護タクシー
- 家族が送り迎えできる日と、できない日
移動手段のめどが立っていると、親も「返納したら外に出られなくなる」という不安が小さくなります。
まとめ
- 大阪市は70歳以上が地下鉄・シティバスに1回50円、神戸市は満70歳以上が市バス・地下鉄などに小児料金で乗れる
- 返納して運転経歴証明書を受け取れば、大阪府・兵庫県の協力企業の特典も使える
- 一人で公共交通機関を使うのが難しいなら、タクシー運賃の半額がめやすの福祉有償運送がある
- 要介護1以上なら、ケアマネジャーに通院等乗降介助を相談できる
この記事の出典
- 大阪市北区 広報誌「わがまち北区」2026年9月号「敬老優待乗車証」の案内(PDF)
- 神戸市「敬老優待乗車証(敬老パス)」(2026年8月19日更新)
- 国土交通省 近畿運輸局「自家用有償旅客運送制度の改正について」(2022年12月14日)
(いずれも2026年10月に内容を確認しています。料金や対象は変わることがあるため、利用の前にお住まいの市や運送団体で確認してください)


