親の車・運転

2026-10-18

親が認知症と言われたら、運転免許はどうなる?|検査・診断書・取消しの流れと家族ができること

親が「認知症かもしれない」「認知症と診断された」。そんなとき、家族がまず心配になるのが車の運転です。認知症と運転免許の関係は、道路交通法で決まっています。ここでは、その流れと家族が知っておきたいことを整理します。

認知症は「一定の病気等」の一つ

道路交通法では、安全な運転に支障が出るおそれがある病気を「一定の病気等」として定めています。警視庁の案内では、次のようなものが挙げられています。

  • 認知症
  • 統合失調症、てんかん、再発性の失神、そううつ病など
  • 無自覚性の低血糖症、重度の眠気を伴う睡眠障害
  • アルコールや薬物の中毒

これらに当てはまる場合は、症状によって免許を取れなかったり、一定の期間、免許を取り消されたりすることがあります。なかでも認知症は、医師に認知症と診断されると、免許の取消しや停止の対象になります。

「認知症のおそれあり」から取消しまでの流れ

75歳以上の人が認知症の検査を受けるきっかけは、主に2つあります。

きっかけ 内容
免許の更新 75歳以上は、更新のときに認知機能検査を受ける
一定の違反 75歳以上が信号無視や一時不停止など、認知機能が低下すると起こしやすいとされる違反をしたとき、「臨時認知機能検査」を受ける

検査の結果が「認知症のおそれあり」となると、次のように進みます。

  1. 公安委員会から、医師の診断書を出すよう命じられる(または、専門医による「臨時適性検査」を受ける)
  2. 医師の診察を受け、決まった様式の診断書を書いてもらって提出する
  3. 診断の結果、認知症と診断されれば、免許の取消しまたは停止。認知症でなければ、そのまま更新などに進む

滋賀県警察の案内でも、「認知症のおそれあり」となった人は医師の診断(臨時適性検査等)を受け、その結果によっては取消しや停止の処分を受けることがあると説明しています。

途中で自主返納を選ぶ人もいる

神奈川県警察の資料では、診断書の提出を命じられたことをきっかけに自主返納する人がいることが示されています。取消しになるのを待たずに、自分で免許を返すという選択です。

返納すると、身分証になる「運転経歴証明書」の申請ができます(違反や病気などで取消しの処分を受ける場合は、運転経歴証明書を受け取れないことがあります)。どの時点まで自主返納ができるかは、親の住む府県の運転免許試験場に確認してください。

→ 親の運転免許の自主返納|運転経歴証明書と返納特典

家族が知っておきたい3つのこと

1. 更新のときの「質問票」にうそを書くと罰則がある

免許の取得や更新のときには、病気の症状についての質問票に答えます。大阪府警察の案内では、「病気を理由に、医師から免許の取得や運転を控えるよう助言を受けている」などの項目があり、当てはまる人には職員が症状を聞き取ります。

この質問票にうその記載をすると、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になります(山梨県警察の案内による)。医師から運転を控えるよう言われているなら、正直に書くことが大切です。

2. 医師は公安委員会に届け出ることができる

道路交通法では、医師が一定の病気等に当たる人を診察したとき、その結果を任意で公安委員会に届け出ることができるとされています。警視庁の案内では、運転を控えるよう説明しても従わない場合などを想定しています。

「主治医に相談したら、警察に知らされるのでは」と心配する声もありますが、届出は医師の判断による任意のものです。親の運転について主治医に相談すること自体は、ためらう必要はありません。

3. 病気が良くなれば、3年以内なら試験の一部が免除される

一定の病気等を理由に免許を取り消された人でも、病状が良くなって再び免許を取れる状態になった場合、取消しから3年以内であれば、再取得のときの技能試験と学科試験が免除されます(静岡県警察の案内による。薬物等の中毒の人は除く)。

相談先

相談したいこと 窓口
病気と運転、免許の手続き 安全運転相談 #8080、大阪府は門真・光明池運転免許試験場の適性相談コーナー
認知症の診断や治療 かかりつけ医、認知症の専門医療機関
介護や暮らしの困りごと 親の住む地域の地域包括支援センター

大阪府警察の案内では、試験場の適性相談コーナーでの相談は事前予約が必要で、平日の午前9時〜午後5時に電話で受け付けています(午後3時以降がつながりやすいとされています)。

運転をやめたあとも見すえて

認知症と診断されると、運転だけでなく、お金の管理や車・家の売却にもかかわってきます。親の判断する力が落ちると、本人が車を売る契約をすることが難しくなる場合もあります。

まとめ

  • 認知症は道路交通法の「一定の病気等」に含まれ、認知症と診断されると免許の取消し・停止の対象になる
  • 75歳以上は更新時の認知機能検査や、違反をきっかけにした臨時認知機能検査で「おそれあり」となると、医師の診断を受ける
  • 診断書の提出を命じられたのをきっかけに、自主返納を選ぶ人もいる
  • 質問票のうその記載には罰則がある。医師は任意で公安委員会に届け出ることができる
  • 病気が良くなれば、取消しから3年以内の再取得で技能・学科試験が免除される

この記事の出典

(いずれも2026年10月に内容を確認しています。手続きの細かな運用は府県によって違うことがあるため、親の住む府県の警察で確認してください)

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