高齢者施設
2026-09-30
特養や老健の食費・居住費が安くなる「負担限度額認定」とは?対象と金額を公的資料で解説
特別養護老人ホーム(特養)などの介護保険施設に入ると、介護サービス費の1割(所得によって2割・3割)に加えて、**食費と居住費(部屋代)**がかかります。実は、毎月の支払いの中でいちばん大きいのが、この食費と居住費です。
所得や預貯金が一定以下の方は、「負担限度額認定」を受けると、この食費と居住費が大きく下がります。知らずに申請していないご家族も多い制度です。
この記事は、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」に掲載されている資料をもとに書いています(出典は記事の最後に載せています)。
負担限度額認定とは
介護保険施設に入っている方などで、所得や資産が一定以下の方について、決められた上限(負担限度額)をこえる食費・居住費を、介護保険から支給するしくみです。正式には「特定入所者介護サービス費(補足給付)」といいます。
使える施設・サービス
対象になる
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設(老健)、介護医療院、ショートステイ(短期入所生活介護・短期入所療養介護)
対象にならない
有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームなど
対象になる人(所得段階と預貯金の条件)
対象は「第1段階〜第3段階②」の方です。所得の条件と、預貯金の条件の両方を満たす必要があります。
| 段階 | 所得などの条件 | 預貯金の上限(夫婦の場合) |
|---|---|---|
| 第1段階 | 生活保護を受けている方など/世帯全員が住民税非課税で、老齢福祉年金を受けている方 | 生活保護の方は要件なし/1,000万円(2,000万円) |
| 第2段階 | 世帯全員が住民税非課税で、本人の年金収入+その他の所得が82.65万円以下(非課税年金を含む) | 650万円(1,650万円) |
| 第3段階① | 世帯全員が住民税非課税で、上の金額が82.65万円超〜120万円以下 | 550万円(1,550万円) |
| 第3段階② | 世帯全員が住民税非課税で、上の金額が120万円超 | 500万円(1,500万円) |
| 第4段階 | 住民税が課税されている世帯 | 対象外 |
※ 最新の基準額は、お住まいの市区町村で確認してください。
いくら安くなる?(特養の場合・1日あたり)
| 基準の金額 | 第1段階 | 第2段階 | 第3段階① | 第3段階② | |
|---|---|---|---|---|---|
| 食費 | 1,545円 | 300円 | 390円 | 680円 | 1,420円 |
| 居住費(多床室) | 915円 | 0円 | 430円 | 430円 | 530円 |
| 居住費(従来型個室) | 1,231円 | 380円 | 480円 | 880円 | 980円 |
| 居住費(ユニット型個室) | 2,066円 | 880円 | 880円 | 1,370円 | 1,470円 |
※ 老健・介護医療院は、従来型個室の基準額などが一部ちがいます。ショートステイの食費は、第2段階600円、第3段階①1,030円、第3段階②1,360円です。
計算例:特養の多床室に入っている第2段階の方(30日)
認定がない場合
食費 1,545円+居住費 915円 = 1日 2,460円
30日で 約73,800円
30日で 約73,800円
認定がある場合
食費 390円+居住費 430円 = 1日 820円
30日で 約24,600円(約4万9,000円安い)
30日で 約24,600円(約4万9,000円安い)
※ 介護サービス費の自己負担や日常生活費は別にかかります。
申請の流れ
負担限度額認定の申請
1
市区町村の介護保険の窓口に申請
申請書に加えて、預貯金の額が分かる通帳の写しなどを出します。施設の相談員やケアマネジャーが手伝ってくれることもあります。
2
「負担限度額認定証」が届く
所得段階と、1日あたりの上限額が書かれています。
3
施設に認定証を見せる
以後の請求が、上限額にもとづいて計算されます。
4
毎年、更新する
認定には有効期限があります。更新の申請を忘れないようにしましょう。
気をつけたいこと
- 申請しないと使えません。施設に入ったら、まず対象になるかを確認しましょう
- 預貯金もチェックされます。うその申告をすると、支給された額の返還に加えて、加算金を求められることがあります
- 実家を売ってお金が入ると、預貯金の条件をこえて対象外になることがあります。売却のタイミングも含めて考えましょう
まとめ
- 負担限度額認定を受けると、特養・老健などの食費と居住費が大きく下がる
- 対象は、住民税非課税世帯で、預貯金が一定以下の方(第1〜第3段階)
- 市区町村への申請が必要。認定証を施設に見せて使う
施設の種類は高齢者施設の入門ガイド、介護費が高くなったときの払い戻しは高額介護サービス費についての記事もあわせてご覧ください。
この記事の出典
- 厚生労働省「介護サービス情報公表システム」サービスにかかる利用料(2026年9月確認)
※ 金額や基準は、制度改正で変わることがあります。実際の手続きは、お住まいの市区町村にご確認ください。