相続

2026-10-27

相続税がかかるかの目安|基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」、申告は10か月以内。配偶者の税額軽減と小規模宅地等の特例は申告が必要(国税庁の情報で解説)

「親の遺産に相続税はかかるの?」は、相続でまず気になることのひとつです。目安になるのが遺産に係る基礎控除額です。この記事は、国税庁のタックスアンサー(令和8年4月1日現在法令等)をもとに書いています(出典は記事の最後に載せています)。

※ 税金の計算は、財産の評価や家族の状況で大きく変わります。この記事は目安です。実際の判断は、税理士や税務署に確認してください。

基礎控除の計算式

遺産に係る基礎控除額
式
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
遺産の合計(借金や葬式費用を引き、一定の贈与を足した額)がこれ以下なら、相続税はかからず、申告もいりません

法定相続人の数ごとの基礎控除額は、次のとおりです。

法定相続人の数 基礎控除額
1人 3,600万円
2人 4,200万円
3人 4,800万円
4人 5,400万円

たとえば、父が亡くなり、相続人が母と子2人なら、法定相続人は3人で、基礎控除額は4,800万円です。

法定相続人の数え方

国税庁は、基礎控除の計算に使う「法定相続人の数」について、次のように決めています。

  • 相続放棄をした人も数に入れる(放棄がなかったものとした場合の相続人の数で数える)
  • 養子は、亡くなった人に実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までしか数に入れない

相続放棄の手続きは、相続放棄の手続きと期限で説明しています。

遺産の合計の出し方

相続税がかかるかどうかを比べる「遺産の合計」は、ざっくり次の流れで出します。

  1. 相続や遺贈で受け取った財産(土地・建物・預貯金・株など)と、みなし相続財産(死亡保険金など)を足す
  2. お墓など相続税のかからない財産と、借金・葬式費用を引く
  3. 亡くなる前の一定期間に受けた贈与を足す

この合計が基礎控除額を超えるときに、相続税の申告が必要になります。国税庁によると、申告が必要かを判定するときは、後で説明する小規模宅地等の特例は使わない前提で計算します。

相続税の速算表

基礎控除を引いた残り(課税遺産総額)を、法定相続分どおりに分けたと仮定して、それぞれに次の税率をかけます。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% -
1,000万円超〜3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超〜5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超〜1億円以下 30% 700万円
1億円超〜2億円以下 40% 1,700万円
2億円超〜3億円以下 45% 2,700万円
3億円超〜6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

計算のイメージ

相続人が母と子2人で、遺産の合計が6,000万円の場合で考えてみます(特例を使わない、ごく単純な例です)。

手順 金額
課税遺産総額 6,000万円 − 4,800万円 = 1,200万円
母(法定相続分2分の1) 600万円 × 10% = 60万円
子A(4分の1) 300万円 × 10% = 30万円
子B(4分の1) 300万円 × 10% = 30万円
相続税の総額 120万円

この総額を、実際に受け取った財産の割合で分けます。さらに、母は次の「配偶者の税額軽減」を使える可能性があります。

申告すれば税金が減る2つの特例

配偶者の税額軽減

配偶者が実際に受け取った遺産は、1億6千万円か配偶者の法定相続分相当額の、どちらか多い金額までなら相続税がかかりません。

ただし、使うには相続税の申告書を出すことが必要です。申告期限までに遺産分割が済んでいない財産は、原則として対象になりません(申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を付けて、3年以内に分割すれば対象になります)。

小規模宅地等の特例

亡くなった人が住んでいた土地などは、一定の要件を満たすと、評価額を大きく減らせます。

土地の種類 限度面積 減らせる割合
特定居住用宅地等(自宅の土地) 330㎡ 80%
特定事業用宅地等 400㎡ 80%
貸付事業用宅地等 200㎡ 50%

この特例も、申告書に適用を受ける旨を書き、計算明細書や遺産分割協議書の写しなどを付けて申告することが必要です。配偶者が相続する場合は取得者ごとの要件がありませんが、ほかの親族には住んでいるか・持ち続けるかなどの要件があります。

特例で税金が0円になっても、申告がいることがあります。「税金がかからないから何もしなくていい」と思わずに、遺産の合計が基礎控除を超えそうなら、早めに税理士や税務署に相談しましょう。

申告の期限と提出先

項目 内容
期限 亡くなったことを知った日(通常は亡くなった日)の翌日から10か月以内
提出先 亡くなった人の住所地を管轄する税務署(相続人の住所地ではありません)

たとえば1月6日に亡くなった場合、期限は11月6日です。期限が土日祝日のときは、その翌日になります。10か月は、遺産の調査や遺産分割の話し合いをしているとあっという間です。

亡くなった親の所得税の申告(準確定申告)は4か月以内です。こちらは準確定申告の記事で説明しています。

まとめ

  • 基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」。相続人が3人なら4,800万円
  • 相続放棄した人も法定相続人の数に入る。養子は実子がいれば1人、いなければ2人まで
  • 遺産の合計が基礎控除を超えると申告が必要(判定は小規模宅地等の特例を使わない前提)
  • 配偶者の税額軽減(1億6千万円まで)と小規模宅地等の特例は、申告しないと使えない
  • 申告は10か月以内、亡くなった人の住所地の税務署へ

相続全体の流れは相続の流れと期限|はじめての方のための全体ガイド、実家を売ったときの税金は相続した実家を売ったときの3,000万円控除をご覧ください。

出典

(2026年10月27日に確認)

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