2026-10-28
70歳以上の親の高額療養費|2026年8月から上限額が見直し。外来は月2万2,000円(一般区分)、新しく「年間上限」も(厚生労働省の資料で解説)

親が入院したり、通院が続いたりすると、医療費の負担が気になります。病院や薬局の窓口で払う医療費が1か月の上限額をこえたとき、こえた分が支給されるのが高額療養費制度です。
この上限額が、2026年(令和8年)8月の診療分から見直されました。あわせて、1年単位の上限額である「年間上限」が新しくできています。この記事では、70歳以上の親の場合を中心に、厚生労働省の資料で整理しました(出典は記事の最後に載せています)。
※ 親がどの区分にあたるか、手続きのしかたは、親が入っている医療保険(後期高齢者医療広域連合、市町村の国民健康保険など)に確認してください。
高額療養費のしくみ
- 窓口で払った医療費が、1か月(1日〜月末)の上限額をこえたら、こえた分が支給される
- 上限額は、年齢と所得によって決まっている
- 70歳以上には、外来だけの上限額(個人ごと)と、入院も含めた世帯ごとの上限額がある
- 入院中の食事代や、差額ベッド代などは対象にならない
マイナ保険証を使うか、事前に「限度額適用認定証」を受け取って窓口で出せば、窓口での支払いそのものが上限額までになります。
2026年8月からの上限額(70歳以上)
厚生労働省の資料「高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)」によると、2026年8月〜2027年7月の70歳以上の上限額は次のとおりです。
| 所得区分 | 外来(個人ごと)の月の上限 | 世帯の月の上限 | 年間上限 |
|---|---|---|---|
| 現役並み(年収約1,160万円〜) | ― | 270,300円+(医療費−901,000円)×1% | 1,680,000円 |
| 現役並み(年収約770万〜約1,160万円) | ― | 179,100円+(医療費−597,000円)×1% | 1,110,000円 |
| 現役並み(年収約370万〜約770万円) | ― | 85,800円+(医療費−286,000円)×1% | 530,000円 |
| 一般(〜年収約370万円) | 22,000円(外来の年間上限216,000円) | 61,500円 | 530,000円 |
| 住民税非課税 | 11,000円(外来の年間上限96,000円) | 25,700円 | 290,000円 |
| 住民税非課税(所得が一定以下) | 8,000円 | 15,700円 | 180,000円 |
「現役並み」は、国保・後期高齢者医療では課税所得145万円以上の人です。現役並みの区分には、外来だけの上限はありません。
見直しの前とくらべると
70歳以上の一般区分と住民税非課税の区分で、見直しの前(2026年7月診療分まで)とくらべると次のようになります。
| 所得区分 | 2026年7月まで | 2026年8月から | |
|---|---|---|---|
| 一般 | 外来(個人ごと) | 18,000円(年間上限144,000円) | 22,000円(年間上限216,000円) |
| 一般 | 世帯 | 57,600円 | 61,500円 |
| 住民税非課税 | 外来(個人ごと) | 8,000円 | 11,000円(年間上限96,000円) |
| 住民税非課税 | 世帯 | 24,600円 | 25,700円 |
| 住民税非課税(所得が一定以下) | 外来(個人ごと) | 8,000円 | 8,000円 |
| 住民税非課税(所得が一定以下) | 世帯 | 15,000円 | 15,700円 |
月の上限額は上がりましたが、住民税非課税の区分には外来の年間上限(96,000円)が新しく設けられました。厚生労働省は、これによって毎月いまの上限額まで使っている人の1年間の負担は変わらない、と説明しています。
新しくできた「年間上限」
これまでの高額療養費は、月ごとの上限だけでした。2026年8月からは、年単位の上限額(年間上限)ができています。
- 「年間」は、8月から翌年7月まで
- 月ごとの自己負担が積み上がっても、年間上限に達したら、それ以上の医療費は保険者から還付される
- 月の上限に届かない月が続く人でも、1年の合計が年間上限に達すれば対象になる
また、長く治療が続く人のための「多数回該当」(過去12か月に3回以上、上限額に達した場合に、4回目から上限額が下がるしくみ)の金額は、据え置きとされています。
なお、2027年(令和9年)8月からは、所得区分をより細かく分ける見直しが予定されています。
世帯で合算できる
1回分の窓口負担では上限額をこえなくても、同じ月の、ほかの病院や薬局での自己負担、同じ世帯で同じ医療保険に入っている人(たとえば、ともに後期高齢者医療に入っている両親)の自己負担を合算できます。合算した額が世帯の上限額をこえれば、こえた分が支給されます。
両親がともに75歳以上なら、同じ後期高齢者医療に入っているので合算できます。一方、子どもが会社の健康保険に入っている場合、親と子の医療費は合算できません(医療保険がちがうため)。
介護費とあわせて重いときは
医療費と介護サービス費の両方がかかっている世帯は、1年間(8月〜翌年7月)の合計額で上限をこえた分が戻る「高額医療・高額介護合算制度」もあります。介護費の上限については高額介護サービス費、75歳以上の窓口負担の割合は後期高齢者医療の窓口負担、確定申告での医療費控除は親の医療費控除にまとめています。
まとめ
- 高額療養費は、1か月の医療費の自己負担が上限額をこえた分が支給される制度
- 2026年8月の診療分から上限額が見直された。70歳以上の一般区分は、外来2万2,000円・世帯6万1,500円
- 年間上限(8月〜翌年7月)が新しくできた。多数回該当の金額は据え置き
- 同じ月・同じ医療保険の世帯なら合算できる
- 区分や手続きは、親が入っている医療保険に確認を
出典
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(2026年7月31日更新)
- 厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)」
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」(見直し前の上限額と、世帯合算のしくみ)
(2026年10月28日に確認)
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