相続

2026-10-28

遺留分とは?|遺言でも奪えない最低限の取り分。割合は原則2分の1、親だけなら3分の1、兄弟姉妹はなし。請求は「知ってから1年」(政府広報・裁判所の情報で解説)

親の遺言に「全財産を長男に相続させる」と書かれていた。ほかのきょうだいは、何も受け取れないのでしょうか。

じつは、一定の相続人には、遺言や生前の贈与によっても奪われない最低限の取り分があります。これを遺留分(いりゅうぶん)といいます。

この記事は、政府広報オンライン「知っておきたい相続の基本」(法務省取材協力、2026年3月2日)と、裁判所の「遺留分侵害額の請求調停」のページをもとに書いています(出典は記事の最後に載せています)。

※ 遺留分の計算や請求は、財産の内容や生前贈与の有無で大きく変わります。実際の判断は、弁護士や司法書士などの専門家に相談してください。

遺留分の割合

遺留分の割合は、誰が相続人になるかで変わります。

相続人 遺留分の割合(全体)
配偶者のみ/子のみ/配偶者と子/配偶者と父母 2分の1
父母など直系尊属のみ 3分の1
兄弟姉妹のみ 遺留分なし

遺留分を持つ相続人が複数いるときは、この割合を法定相続分で分け合います。

法定相続分(おさらい)

相続人 法定相続分
配偶者のみ 配偶者:全部
配偶者と子 配偶者:2分の1、子(全員で):2分の1
配偶者と父母 配偶者:3分の2、父母(全員で):3分の1
配偶者と兄弟姉妹 配偶者:4分の3、兄弟姉妹(全員で):4分の1
例:相続人が母と子2人(長男・次男)の場合
1
全体の遺留分は2分の1
配偶者と子が相続人なので2分の1
2
法定相続分で分ける
母の法定相続分は2分の1、子はそれぞれ4分の1
3
一人ひとりの遺留分
母は2分の1×2分の1=4分の1、次男は2分の1×4分の1=8分の1

「全財産を長男に」という遺言があっても、次男は遺産のおよそ8分の1にあたる額を、長男に請求できる、ということです(実際の計算には、生前の贈与なども関係します)。

遺留分侵害額の請求

遺留分に相当する財産を受け取れなかった相続人は、贈与や遺贈(遺言でもらうこと)を受けた人に対して、侵害された額に相当するお金の支払いを請求できます。これを遺留分侵害額の請求といいます。

以前は「遺留分減殺請求」といい、財産そのものを取り戻すしくみでした。2019年(令和元年)7月1日以降に始まった相続からは、お金で請求するしくみに変わっています。

期限:知ってから1年、相続開始から10年

遺留分侵害額の請求権は、次のどちらかを過ぎると、時効で消えてしまいます。

  • 相続が始まったこと、そして遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知った時から1年
  • 相続開始(亡くなった時)から10年

1年は思ったより短い期間です。遺言の内容に納得できないときは、早めに専門家に相談しましょう。

話し合いで決まらないときは家庭裁判所の調停

当事者の話し合いで決まらないときや、話し合いができないときは、家庭裁判所の遺留分侵害額の請求調停を使えます。

項目 内容
申立先 相手方の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で決めた家庭裁判所
費用 収入印紙1,200円分と、連絡用の郵便切手(金額は裁判所ごとに違う)
主な書類 申立書と写し、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、遺言書の写しまたは検認調書の写し、遺産に関する証明書など

調停の申立てだけでは「請求した」ことにならない

裁判所は、調停を申し立てただけでは、相手に請求の意思を伝えたことにはならないと案内しています。期限内に、調停とは別に内容証明郵便などで、請求する意思を相手に伝える必要があります。

遺言を書く側の人へ

遺言は自由に書けますが、遺留分を大きく下回る内容にすると、亡くなったあとに家族で争いになるおそれがあります。遺言書の保管については自筆証書遺言書保管制度、相続全体の流れは相続の流れと期限をご覧ください。

まとめ

  • 遺留分は、遺言や生前の贈与でも奪えない、一定の相続人の最低限の取り分
  • 割合は原則2分の1、父母など直系尊属だけが相続人なら3分の1、兄弟姉妹には遺留分がない
  • 複数の相続人がいるときは、法定相続分で分け合う
  • 請求できるのはお金。期限は「知った時から1年」か「相続開始から10年」
  • 調停の申立てとは別に、内容証明郵便などで意思を伝える必要がある。迷ったら専門家に相談する

出典

(2026年10月28日に確認)

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