相続

2026-10-28

親からの生前贈与は相続税に足し戻される?|加算期間は3年から7年へ。2027年からの移り変わりと100万円の控除、年110万円の基礎控除との関係(国税庁の情報で解説)

「親から毎年110万円までなら、贈与税はかからない」。よく聞く話ですが、親が亡くなったときには、亡くなる前の一定期間に受けた贈与が、相続税の計算に足し戻されます。しかも、その期間は3年から7年に延びている途中です。

この記事は、国税庁のタックスアンサー「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」(令和8年4月1日現在法令等)をもとに書いています(出典は記事の最後に載せています)。

※ 贈与と相続の税金は、財産の額や家族の状況で大きく変わります。この記事は目安です。実際の判断は、税理士や税務署に確認してください。

まず:年110万円の基礎控除

国税庁によると、ふつうの贈与(暦年課税)には、1年に110万円の基礎控除があります。1年間(1月1日〜12月31日)にもらった財産の合計が110万円以下なら、贈与税はかからず、申告もいりません。

110万円を超えたときは、もらった年の翌年2月1日から3月15日までに、贈与税の申告と納税をします。

ただし、110万円以下で贈与税がかからなかった贈与も、相続のときには足し戻しの対象になります。ここが見落とされやすいところです。

足し戻される期間は「亡くなった日」で変わる

加算される期間は、親(贈与した人)がいつ亡くなったかで決まります。

亡くなった日 足し戻される贈与の期間
2026年(令和8年)12月31日まで 亡くなる前の3年以内
2027年1月1日〜2030年12月31日 2024年(令和6年)1月1日から亡くなった日まで
2031年(令和13年)1月1日以後 亡くなる前の7年以内

2024年1月1日以後の贈与から、加算の期間が7年に延びました。いきなり7年分になるのではなく、2027年からの4年間で、少しずつ長くなっていくしくみです。

例:2029年6月に親が亡くなった場合
1
足し戻されるのは2024年1月1日以後の贈与
2023年までの贈与は足し戻されない
2
亡くなる前3年以内の贈与は、全額を足す
2026年6月ごろから亡くなった日までの贈与
3
それより前の分は、合計から100万円を引いて足す
2024年1月1日〜3年より前の贈与の合計から、100万円まで差し引ける

延びた期間の分は、100万円まで引ける

国税庁によると、亡くなった日が2027年(令和9年)1月2日以後の場合、加算の期間のうち「亡くなる前3年以内」に入らない贈与は、贈与のときの価額の合計から、総額100万円までを差し引いて足し戻します。

1年ごとに100万円ではなく、延びた期間の分を合わせて100万円です。

足し戻されるのは誰がもらった贈与?

足し戻しの対象になるのは、相続や遺贈(遺言など)で財産をもらった人が、亡くなった人から加算期間内に受けた贈与です。

そのため、たとえば相続でも遺言でも財産をもらわない孫への贈与は、ふつうは足し戻しの対象になりません。ただし、遺言で財産をもらったり、生命保険金を受け取ったりする場合などは、扱いが変わることがあります。孫への贈与を考えるときは、税理士に確認してください。

払った贈与税は、相続税から引ける

足し戻された贈与に、すでに贈与税を払っていた場合は、その分を相続税から差し引けます(贈与税額控除)。同じ財産に、贈与税と相続税が二重にかかることはありません。

ただし、加算税、延滞税、利子税は差し引けません。

相続税がかかるかの目安とあわせて

足し戻しが関係するのは、相続税がかかる場合です。遺産の合計(足し戻した贈与を含む)が基礎控除以下なら、相続税はかかりません。

基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。くわしくは相続税がかかるかの目安をご覧ください。死亡保険金の非課税枠は、死亡保険金の非課税は500万円×法定相続人の数にまとめています。

まとめ

  • 贈与は年110万円まで贈与税がかからないが、亡くなる前の一定期間の贈与は相続税に足し戻される
  • 足し戻しの期間は、2026年末までに亡くなった場合は3年。2027〜2030年は2024年1月1日から亡くなった日まで。2031年以後は7年
  • 延びた期間の分は、合計から100万円まで差し引ける(2027年1月2日以後に亡くなった場合)
  • 対象は、相続や遺贈で財産をもらった人が受けた贈与。払った贈与税は相続税から差し引ける
  • 生前贈与を考えるときは、早めに税理士や税務署に相談する

出典

(2026年10月28日に確認)

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